Blenheim Point

主に英国(リーズ大学)と米国(イリノイ大学)の留学について記載しています。

【勉強13】前期科目の感想

前期の科目の思い出など

Corporate Law

  • 名前のとおりイギリスの会社法を学びましょうという科目。
  • 2019-2020はColin Mackie先生が担当。本人はScotland訛りだと言っているが、それを気にしてゆっくり喋ってくれるのでとても分かりやすい。
  • LLMでちゃんと正面からCorporate Lawを取り扱う大学はあまり多くないので貴重(Corporate GovernanceとかCorporate Financeみたいなビジネス寄りの発展科目のみだったり)。
  • リーズだと私法系のコースをとってる学生は基本的に履修するよう勧められるので(一部のコースでは必修科目)、履修学生が多い。
  • 科目の性質上、ビジネスよりアカデミック寄りなので、そういうのが好きな人には向いてると思う。日本法との異同が比較しやすく、個人的には履修した中で1番勉強してて楽しい科目だった。
  • Hannign(イギリスで1番権威のある基本書)が推奨されましたが、私は大学時代のゼミの教授に勧められたGowerのほうが好きでした。英国の会社法の基本書といえばHanniganかGowerが二大巨頭らしいです。やや実務よりだとMayson、French&Ryanが定番だとか。
  • 日本と同じくもっとコンパクトで分かりやすい本(リークエみたいなの)は多数あるのでとっかかりとしてはそっちのほうがいいかも。ただEssayを書くときには使いづらいので(記述が浅いし、authorityとして弱い)、HanniganかGowerはどっちかあった方が良さげです。
  • イギリスもコモンロー法域ですが、会社法に関してはちゃんと整備されている(Companies Act 2006)し、アメリカみたいに州によって会社法が違うということもないので、割と条文ベースの勉強方法になると思います。なので、条文集(Blackstone's StatuteのCompany Law)があると便利かもしれません(Insolvency Lawも掲載されているのでそっちの科目もとる場合は使いまわせる)

International Human Rights Law

  • Internationalという名がついているけど、実際はほとんど欧州人権裁判所(ECHR)の事案を扱う。あとは国連の人権救済システムをぼちぼち。
  • そもそもちゃんと法的な拘束力を持った判決出せる地域裁判所は世界でも限られており、ECHR並に加盟国に影響力を持っている機関が存在しない。なので担当教員が変わっても実質ECHRを学ぶ科目になりそうです。
  • 履修学生の8割はHuman Rights LawコースやCriminal & Justiceコースの学生。LLM全体では私法系(ビジネス系)の学生が圧倒的に多いので、他のクラスでは見かけない人たちに出会えます。
  • 他では半分以上を占める中国人学生の比率がこの科目だけ1割ぐらいに。
  • 2019-2020の担当教員は若手のStuart Wallace先生。とても親切かつ熱心な線背いでした。
  • でも採点は厳しい。。。
  • あと上記のとおり履修生の多くは公法系のクラスの出身であり、彼らは他に人権科目(European Human Rights Lawとか)も履修しているので、前提の知識量に差がある。なのでちゃんと予習していかないと議論にもついていけない。
  • 当然のことながらビジネスには1ミリも役に立たない科目なので、純粋に興味がないときついかも。
  • 個人的には被害者を救出するために誘拐犯を拷問することの適法性が問われた事案(ドイツ)や、伝統的に体罰が容認されてきた地域社会において体罰の禁止を求めることの是非(イギリス・マン島)とか、犯罪(人身売買)に対して十分な捜査をしなかったことに対する国家の責任(ロシアだっけ?)とか、興味深いトピックが多かったのでとってよかったです。

Cyber Law

  • 前期最大の高難易度科目
  • 担当教員はその世界では結構有名らしく、母国のインドだと政府の色んな委員もやっている模様
  • 法律やCaseを学ぶというよりも、サイバースペース論的なお話が続く
  • 具体的には2000に出版されたRessigの"Code"という本がベース
  • エッセイ課題も講義の内容も全体的に抽象的な話が多くて難易度高めでした
  • たまたま日本人LLM生は3名全員この講義をとっていたので「まずこのエッセイ課題は何を言っているのか」という所から相談した思い出。。
  • 自分の周囲だと点数も結構辛めでした。
  • ただ逆にこういう機会がなければ考えることのないテーマもたくさん提供して頂けたので(上記のRessigの「人の行動を規制する原理は法、規範、市場、アーキテクチャ」という分類論etc)、振り返ってみればとって良かった…と言えるか悩む
  • 単位落とした人は(少なくても周りには)いなかったです