Blenheim Point

主に英国(リーズ大学)と米国(イリノイ大学)の留学について記載しています。

【映画】レンブラントは誰の手に

前から梅田のスカイタワーにあるシネ・リーブル梅田が気になっていたので参戦。前回は大阪ステーションシネマで観た「世界で一番しあわせな食堂」で、人生初つまらなすぎて途中で席を立つという経験をしたので、今回は「とりあえず最後まで見られればOK」という(失礼な)レベルの期待値をもって「レンブラントは誰の手に」を観ました。

 

rembrandt-movie.com

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結果としては大当たりで、珍しく上映終了後パンフレットも買ってしまいました。レンブラントの絵をめぐって3つの異なるストーリーが進行。1つはヤン・シックスがレンブラントの新作として発見した「若い紳士の肖像」をめぐる物語(これが本物かどうかで揉める)。2つめはロスチャイルド家相続税対策のために売りに出した「マールテン・ソールマンとオープイェ・コピットの肖像」を誰が買い取るかという話(ルーブル美術館アムステルダム国立美術館が揉める)。そして3つめがスコットランドの貴族が自分の持つ「読書をする貴婦人」を部屋のどこに飾ろうかひたすら悩む話(誰とも揉めない)。

話の尺的にも3つめはサイドストーリー的な位置づけで、他の2つの話が本物か/贋作か、どこの国が持つべきか、いくらで買うべきかといったギラついた欲望がチラつくのに対し、3つ目は自分が好きな絵とどうやったら自然な形で向き合えるかをひたすら追及しており対照的。派手な対立も争いもないのにひたすら好みの絵の楽しみ方を追求する貴族の姿はインパクト大。原題のMy Rembrandtとマッチしたエピソードでした。

ちなみに「マールテン・ソールマンとオープイェ・コピットの肖像」はルーブルアムステルダムの共同所蔵になったですが、これは法律上どういう整理になっているんだろうと気になってしまった。2枚1組の絵なのでそれぞれに所有権を持って相互にレンタルするというやり方もあったように思うけど、劇中での言及のされ方や調べてみたところ、あくまで2枚の絵に対して互いに所有権を主張できる状態、らしい。そもそも共同所蔵ってなんだろう(10年ごとにホームの美術館を変えるとか…?)

唯一残念だったのは邦題。原題は「My Rembrandt」で、同じレンブラント愛好家でも哲学や感性、価値観は千差万別、というのを3つのストーリーで表現した作品にふさわしいタイトルになっています。一方で邦題の「レンブラントは誰の手に」というタイトルだと、↑の2つ目の話(ルーブルアムステルダムの争奪戦)にフォーカスされたタイトルになってしまっていて、原題と大きく趣旨が変わってしまっているような気がするし、明らかに原題の方がいいよね、とも思います。「私のレンブラント」だとキャッチ―ではない、というのは理解できるんですが。

とはいえ中身が文句なしに面白かったので大満足です。

 

※劇中に出てきたエリック・ド・ロスチャイルド男爵が自分の卒論の指導教授に激似でびびりました。