アイヌプリ(AINU PURI)感想
十三の第七藝術劇場に観に行ってきました。
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(舞台挨拶。宣伝のための撮影・掲載はOKとのアナウンスあり)
- 北海道出身である福永壮志監督初のドキュメンタリー作品。アイヌといえば、イリノイ大学(UIUC)の客員研究員だった頃にお会いした釧路弁護士会の伊藤啓太先生を思い出します。伊藤先生も日弁連派遣の研究員で、少数民族の権利保護を研究テーマにされていました(渡米したのは私より1年早かったものの、研究を続けるために任期を延長されたため、私と滞在が重複)。帰国してからは1度もお会いできていませんが、伊藤先生がこの作品をみたらなんとおっしゃるかが気になるところです。
- 「アイヌプリ」とは「アイヌの流儀」という意味だそうで、本作もアイヌの伝統文化の映像が記録されています。川で泳いでいる鮭をモリ状の漁具で突いて捕獲したり、猟銃で鹿の脳天を一撃で仕留めてその場で肝を取り出すなど、アイヌ伝統の狩猟シーンは圧巻です。同時に、漁船で海へ出て網を使って大量の魚をとる(一般的な)漁業をする姿も記録されており、食料を獲得するための「漁」だけではなく、生活の糧(貨幣)を得るための「漁業」もせざるを得ない現実も映されています(作中の「食べる分以上の魚をこんなにとることに抵抗はあるが、仕事中にアイヌ文化のことを考えていたらやっていけない」という趣旨のコメントが印象的です。)
- アイヌ伝統のサケ漁に関しては、昨年4月に札幌地裁の判決が話題になっていました(アイヌ先住権訴訟)。作中でも、サケ漁をとるためにお役所に対して特別許可の申請書を提出するシーンがあります。ご本人は物腰柔らかに対応されていたものの、「なぜ申請をしなければいけないのか」という複雑な心境の吐露も。
- 本作の(おそらくは)主要なテーマのひとつとして、伝統文化の承継という点があります。作中でも、お父さんに連れられて狩猟や漁、伝統の踊りに挑戦する11歳の息子さんの映像が絶えず出てきます。小学校の友人からの「(アイヌ文化は)かっこいい」「今度教えてほしい」といった言葉に誇りを持ちつつも、「大人になったら鹿の狩猟をしたいか」という問いかけに対しての消極的な回答は、(その前の長時間の逡巡も含めて)現時点におけるご本人の偽らざる本音だったように思います。個人的にはこの作品の名シーンの1つです。
- 上映後には福永監督の舞台挨拶がありました。観客とのQAセッションが示唆に富んでいたので、以下一部を掲載します(なお、いずれもあくまで私が趣旨として理解したもので、正確な書き起こしではなく、そ質問者・回答者の本来の意図を取り違えているかもしれません。ご容赦頂ければ幸いです)。
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Q:多くの素晴らしい映像素材があった中で、これだけの尺に納めるのは相当の取捨選択をされたと思う。上映されたシーン・エピソード以外に、印象的なものはあるか。
A:サケ漁の成果は年によって大きく異なった。本編ではちゃんと獲れたシーンが撮れているが、温暖化で全然獲れない年もあった。また、アイヌの伝統衣装で着飾った女性たちのカットは素晴らしかったが意図的に外した。その伝統衣装は儀式で着るものであり、一場面だけをいわば絵や写真のように扱って流すことは、まるで標本にするかのようで自分には抵抗感があったため。
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Q:アイヌ民族支援法の制定後に開設されたアイヌ文化の施設(ウポポイ)。アイヌ文化を尊重する目的である一方、アイヌ文化がある意味で「定義」されたことにもなる。アイヌ民族の方それぞれに文化やアイデンティの定義がある中で、当事者の方々はどのような思いを持っておられるのか(何か聞いていることはあるか)
A:(個人の見解として)おっしゃっていることは理解できる。新法にお金(予算)は入っているかもしれないが、心が十分に入っているのかは懐疑的であるし、本丸であるはずの文化の尊重ではなく、観光資源化の側面が強すぎるかもしれない。他方で予算がついたことにより、当事者の方の雇用も含めて、文化を維持・存続するための基盤が強くなったこともまた事実であり、難しい問題。
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Q:アイヌ民族の方のお葬式・埋葬のシーンだけ、アイヌ伝統のものではなかった(注:仏教式)であったように思う。これには何か理由があるのか。
A:おっしゃるとおり、お葬式・埋葬にもアイヌの伝統文化がある。しかし、例えば火葬ではなく土葬となるなど、様々な手続上のハードルが高い。そのため、仏教式に則った方が様々な意味においてスピーディに亡くなった方をお送りできる。ある意味において、現実と折り合いをつけてあのような形になっているのだと思う。アイヌ専用の墓地を作ろうにも、例えばアイヌの方が和人と結婚されて死去した場合にどうするのかなどの課題。
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InterBee2024に行ってきました
今週後半、上司や同僚のご厚意もあり、2024年のInterBeeに行ってきました。一言でいえば、放送・映像・通信分野の見本市みたいなもので、もう最高に楽しかったです。忘れてしまうと勿体ないので、備忘録的にメモを書きました。

InterBEEとは?
公式説明だと
日本随一の音と映像と通信のプロフェッショナル展として、コンテンツビジネスにかかわる最新のイノベーションが国内外から一堂に会する国際展示会
とのことです。参加費は無料、事前登録をすれば誰でも入れます。
参加者目線だと、企業が出展する見本市と関連する各種のセッション(Program)が2つの大きな柱だと思います。たとえば、セッション・テーマの1つである「InterBee Borderless」の2024年のスケジュールはこんな感じです。

上記はあくまで一例で、いろんなエリアでいろんなセミナーやセッションが会期中ずっと連続しています。同じ時間に3~4会場で別のセミナーがやっているので、重複により苦渋の決断を迫られることも1度ならず。。。
会場の様子
会場は幕張メッセでした。関東に30年ぐらい住んでいましたが、訪れたのは生まれて初めてです。

展示エリア。合計8ホールなので、全体でこの写真の約8倍の大きさがあります。エリアは大きく4つに分かれており、①映像制作/放送関連機材部門、②メディア・ソリューション部門、③エンタメ・ライティング部門、④プロオーディオ部門があります。

展示品感想
各社のブースで、新技術を活用した機材やシステムを展示していて業界素人ながらとても興奮しました。特に印象的だったのが、音源分離AI(ソニー)とマルチカメラオーケストレーションシステム(キヤノン)の2点です。
音源分離AI
- 音声データから特定の音声を判断して分離してくれるシステム。これを活用して、完成された番組の中から①ナレーション、②BGM、③環境音、④効果音を自動で分離させることもできるようで、「どうぶつ奇想天外」の映像・音声素材を使ったデモプレイがされていました。
- 過去に放映した番組を配信する上でのボトルネックの1つが番組BGMの著作権処理でして(※)、番組BGMだけをカットした映像が手間をかけずに作成できるのであればアーカイブ配信にも非常に強力な武器になりそうです。番組BGMだけでなく、ナレーションも除外して英語ナレや別のBGMに差し替えをする(説明は字幕で行う)こともできるので、海外展開していく上でも有用なように感じました。
(※)下記記事がわかりやすいと思います。
マルチカメラオーケストレーション
- メインカメラの動きに連動させて、サブカメラを自動で動かすことができるシステムで、1人のカメラマンによる複数台のカメラの同時撮影が可能になるという世製品でした(=AIが「メインカメラの操作者はいま何を撮りたいのか」を検知してサブカメラに指示を与える)。こちらも企業ブース内で実演がされており、メインカメラをズームしたり被写体を追いかけるとサブカメラもこれに連動して動く様子を実際に見ることができました。
- 単なる省人化だけでなくアクションシーンの撮影などにも有用で、たとえばアクションの中には危険な動きもあり、できれば回数は少なくしたいという需要があるようです。複数のアングルからとるために、何回もアクションをやってもらう必要性がなくなる(カメラマンを配置するとお互いのカメラに映りこんでしまう)というメリットもあるとか。
セッションの感想
以下、参加したセッションの中で特に印象的だったものの概要と感想です。だいぶニュアンスでメモに落としていたこともあり、登壇者の方の実際の発言内容や真意を正確に反映できていない可能性があります(すみません)
デジタル時代にドキュメンタリーをどう届けるか
事実を記録し視聴者に強い印象を与える「ドキュメンタリー」。制作の手法やユーザーが作品に触れる場所も多様になっている。スマホとSNS台頭で情報流通の構造が変わったデジタル時代にドキュメンタリーをどうユーザーに届けるのか。「NNNドキュメント」の短尺版「Nドキュポケット」の総再生数が1億8000万回を超えた日本テレビの今村忠氏、「Yahoo!ニュース ドキュメンタリー」を手がけるLINEヤフーの金川雄策氏、石丸伸二氏を追ったドキュメンタリーの劇場版を公開した広島ホームテレビの立川直樹氏の3氏が登壇。それぞれ異なる立場から現場の課題感や事例を聞く。
- 日テレの中でもNNNドキュメンタリーは3番目に長寿の番組(1位は笑点、2位はキューピー3分間クッキング)
- もっともドキュメンタリー全般として費用対効果は悪い(∵撮影時間が長い、編集が大変、どのような作品が出来上がるかは未知数)。「Nドキュ」も生き残りの戦略を模索する必要性が出てきた。そのような流れで「Nドキュポケット」は作成された。
- Nドキュポケットは、Nドキュの短尺版ではあるが、Nドキュで放映した内容をそのまま短くしているわけではない。撮影素材の中から、Nドキュポケット用に改めて編集している。また、視聴者の多くはスマホで見る。なのでスマホ用にナレーションも入れ替えているし、スマホで見やすいような字幕にもしている。
- 地上波と違い、ネットは途中離脱率が高い。離脱をさせないコツとしてはとにかく結論を先だしにして、畳みかけるような構成にすること。余白を入れない。
- Nドキュポケットの内容をテキスト記事にすると、映像よりも閲覧数が伸びることもある。1つの作品(本編の地上波)から、複数の出し方(Nドキュポケット、テキスト記事etc)をすることで相互に閲覧者数が増える。ネットとテレビは対立関係になく、親和性がある。
- ドキュポケットの完成度が高いと、本編(地上波の25分)は見なくて良いと言われてしまうこともある。いかに本編に誘導していくかが今後の課題。
- 石丸伸仁氏のドキュメンタリー。政治ドキュメンタリーは前後の繋がりが特に大事で通しで見てもらいたい。そのような気持ちもあって、劇場版を作った(劇場は基本的に途中離脱がない。)
- 劇場版の作成は持ち込み。配給会社に打診してみたら「とりあえず物を作ってくれ」とのことだったので、手元の素材を集めて2時間分の映像を持っていった。配給会社から劇場に打診してくれて無事に公開。
(感想)
1つのドキュメンタリー作品の価値を高めるために、その短縮版(Nドキュポケット)を出した日テレさんと、逆に長尺(劇場版)を出した広島ホームテレビさんのアプローチが対照的でした。「ドキュメンタリーは社会を動かす」「配信によってドキュメントをエバーグリーンコンテンツに」という言葉が熱かったです。
放送の未来を配信の現場から考える
海外PFにどう立ち向かうのか? 配信ビジネスをどう拡大するのか? 配信サービスの協調領域をどう拡張するのか? コネクテッドTVで放送の優位性をどう生かすのか? 地域コンテンツをどう流通させるのか? 信頼性の高い情報やコンテンツをどう届けるのか?
ここに列挙した問いは、放送業界自らが問い続け、また総務省の会議などで問われ続けているものである。これらを個別にではなく、つなぎ合わせて考えていかなければ、デジタル時代の“放送の未来像”を描くことは難しい。基調講演では、配信の“現場”の当事者が、格闘の中から何を学び、今後に向けて何を志しているのかを語り合うことで、未来像議論の一歩を踏み出したい。
- 現在のテレビ局は、コンテンツ作成の面において2つの異なるレイヤーに挟撃されているきつい状態。一極は、ハイバジェットの高品質メディア(グローバル・メジャーの配信事業者。Netflix等)。もう一極は、低予算(無報酬)・低品質ながらアテンションの高いメディア(Youtuber等)。趣味層の新規参入が持つ特有の無報酬性(認知をとることが目的)で市場破壊。
- Tverの近況。これまではドラマの再生回数が圧倒的に多かったが、最近はバラエティも同じような再生回数に。最近はローカル局のコンテンツの割合も増えている。Tverにアクセスする人は「この番組を見よう」と目的をもってくる人(目的型利用)。もっともTV視聴者はザッピングしながら興味を持った番組を視聴するという人が多い(習慣型利用)。Tverにあるローカルコンテンツの魅力に気づいてもらうためには、習慣型利用にシフトしていかなければいけない。
- Connected TVとの連携も大変。スマホなら企画は2つ(android/iphone)。テレビの数だけ規格が微妙に違うので、ちゃんと全種類のテレビでアドサーバーから適切に広告が出るかを検証しなければいけない。
- 現状の法制だと、視聴者情報は株式会社Tverのファースト・パーティ・データ。各局に情報として渡そうとすると第三者提供になってしまうのでデータの利活用のポテンシャルを十分に発揮できていない。利活用の幅を広げるためには、最初にログインさせるような仕組みに変えてもよいのでは?ローカルコンテンツにとって地域情報は特に大事。
ローカルコンテンツ局に未来はあるのか
日本にもVODが年々浸透し、放送コンテンツの多彩な接点・視聴方法が生まれたが、ローカル局の番組の多くはVODのような目的視聴の対象になりにくく、今後の展開に苦悩している。ローカル局コンテンツが新たな価値を見出し流通を促進させるには何が必要か?生活者のメディア行動を「心理モード」から探索・分析した視点を国内におけるヒント、これまで放送コンテンツの海外展開を支援し続けた経験を国外におけるヒントとし、パネラーだけでなく来場者の皆さんからの意見・提案の場を設け、会場全体で議論を進めていく。
- 博報堂DYメディアパートナーズ・森永氏の研究成果に関する解説(すごく面白かったです)。メディアやコンテンツを見る際の人間の心理モードを「平要快熱」の四象限に区分して解析。
- 現在の情報環境では、視聴者(利用者)は自らをとりまく情報の編集・編成権を獲得している。そこは視聴者が自ら創り上げた心地よい情報環境なのでそれを助けて&壊さないアプローチが重要。
- これまではいかに「好かれる」「興味を持たれる」ことが注目されてきたが、同時に「嫌われない」ためのやり方を模索する。視聴者の需要だけでなく不快要素を視聴履歴から把握し、過剰なアテンションや集中・興味の強要にならないようなリコメンドの表示をする。
- 一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が開発したローカルコンテンツバンク(LCB)の紹介。海外番販、短い尺のものは売れないが、LCBを使って長尺にすれば売れる可能性がある。
- インバウンド観光客は、マイナーな観光地でも来る。彼らの価値基準として、いかに他の人の行っていないところ、やっていないことをやったかという点があるから。そのため、ローカルコンテンツの海外展開から地域振興には結びつけやすいかもしれない。
シャンペーン・アーバナのお買い物マップ
昨日の薄切り肉の件を書いてて思ったのですが、シャンペーン周辺のお買い物事情(主にスーパー)をまとめておけば、これから生活を立ち上げる方の時間の節約になるかなあと思い、ぱぱっとマップを作ってみました。果たして需要はあるのかという思いもありますが、未来のシャンペーン留学生の方のお役に立てば嬉しいです。

赤いピンがアジア食材店、青いピンが普通のスーパーです。グレーのピンのうち、北にあるのが大学の中心部(Illinoi Union)、南にあるのがロースクール棟になります(ロースクールの僻地っぷりが可視化されてつらいですね)。
以下、雑感です。個人的には1番のFIMと4番のCounty Marketで必要十分です。
1 Fresh International Market(FIM)
昨日書いた、シャンペーン・アーナバ地域でもっとも品揃えの良い(たぶん)アジア食材店です。日本の基本的な生活調味料は大体手に入ると思います。野菜や果物の売られ方も、日本と同じように個別にパッケージされて売られています(量り売りではない)。
2 AM-KO Oriental Foods
FIMの規模を小さくした(1/4ぐらい?)アジア食材店です。お米やインスタント麺のような生鮮食品ではないものの品揃えはFIMと比べても遜色ないと思います。あとFIMにはなかった日本酒も売ってました。ただそれ以外の品揃えはFIMに軍配が上がります。キャンパスタウンから近いのはAMKO、ダウンタウンから近いのはFIMですが、AM・FIM間も1ブロック程度の距離しかありません。



3 Far East Grocery
店名こそFar Eastとなっていますが、日本食材・韓国食材もそれなりに多いFIMやAMKOに比べ、こちらは中国系食材・商品によりフォーカスしています。店員さんも中国の方、お客さんも中国の方、使われる言語も中国語、といったように中国ローカルのお店という感じです。香辛料をはじめ日本では見慣れない食材もあり、その点でFIMやAMKOと差別化しているのだろうなと感じます。FIM・AMKOに比べ店内は狭くて雑然としており、日本人であればあえてここに来る必要性は高くない気がしました。

(日本の百均を彷彿とさせる狭さ)

4 County Market
シャンペーン・アーバナ地域では一番バランスのとれたスーパーかと思います。食料品(生鮮品・加工品・菓子類・調味料etc)や生活用品(バス用品・薬・掃除器具)を幅広くそろえており、店内も広いです。値段も高くなく、またキャンパスタウンからのアクセスも良いので、私は一番ここをよく使います。学生客も多いですが、学生じゃない近隣住民の方も多く来店されており、まさに地域のスーパーといった感じです。


5 Target
キャンパスタウンのド真ん中(というよりキャンパス内)にあるスーパーです。端的にいえばここは学生向けのスーパーという感じで、County Marketより生活用品が充実しており、布団や部屋着、収納箱、延長コードといった室内用品も揃っています。最低限の荷物だけもってシャンペーンにきた学生も、ここに駆け込めば新生活をスタートできるようなイメージです。Amazonをはじめ他のECサイトで買うより、Targetで買うほうが安く上がる場合が多いので、初期はここに足を運んで一通り必要なものを揃えるのが良いかと思います。
生活用品とは対照的に食料品の品揃えは悪く、特に生鮮食品は絶望的です(申し訳程度に果物がちょっと置いてあるくらい)。利用客は学生さんがほとんどを占め、お昼時や夕方はレジ待ちの長蛇の列ができています。TargetからCounty Marketは歩いて5分もかからないので、シャンペーンに到着してすぐの立ち上げ期以外は、あまりわざわざこちらに来る機会もないかと思います。


6 Schnucks
1~5はいずれもシャンペーンエリアのスーパーですが、こちらはアーバナエリアのスーパーになります。品揃えのラインナップや売り場面積はCounty Marketとあまり変わりませんが、こちらの方が若干ながら高級路線&ちょっと珍しいものも売っているような気がします。
キャンパス東の住宅地エリアに住んでいる場合、バスを使わないといけないCounty Marketに比べ、こちらは歩いてくることができるという利点があります(Lincoln Squareの西側からだと20分、東側からだと10分ぐらい)。逆にキャンパスタウンやキャンパス西からだと直通のバス路線がなく、いったんLincoln Squareで降りてそこから10分ほど歩く必要があるので、County MarketではなくわざわざSchnucksに来る人はいななさそうです。
7 Lincoln Square(Common Ground)
同じくアーバナエリアにある大きなショッピングモールもどきです。「もどき」なのは、いまは営業しているテナントがかなり少なく、ショッピングモールとしてまともに機能している状態ではないためです。日中にいっても閑古鳥が鳴いており、日本における地方の衰退したアーケード街を彷彿させます。
地元の方に伺ったところによれば、10年以上前はSchnucksや(郊外の)Walmartがまだなく、アーバナの買い物の中心地はここだったのだとか。確かに、建物自体はとても大きく、駐車場も広大で、かつての栄華(?)を感じさせます。数少ないまともに生き残っているテナントの1つがCommon Groundというスーパーで、売り場面積は小さいながらも自然派・高級路線な感じの食材やお酒が揃っています。日本でいうとまさに成城石井みたいな雰囲気ですね。
品揃えの点でSchnucksとは明確に差別化されており、客層も店員の方の接客態度も雲泥の差があります。とはいえやはり品揃えの偏りは顕著で、僕もたまにワインを買いに行ったりしていますが、逆に言えばワインを買うぐらいしか用途がないです。

地図には載せていませんが、シャンペーンとアーバナの郊外にそれぞれ大型スーパーがあります(シャンペーンはWalmartとCostco、アーバナはWalmart)。売り場面積はとにかく広く、↑のスーパーにはない家電や自転車なども売っており、日本のホームセンターのようなイメージです。
ただバスで行くにはとても面倒で本数も少なく、基本的には自家用車で行くことが前提になります。日用品であれば上記のスーパーで十分事足りてしまうので、単身者だとあまり行く実用性がないかもしれません(私も行ったのは自転車を買おうか迷ってたときくらいです。車はないのでUber呼んでいきました。)。とはいえ本場のWalmartの広大さはなかなか壮観で、半ば観光的な意味で「米国の郊外型スーパー」を見に行くのは面白いと思います。
(お店の前の道路はこんな感じ。周りになーんにもありません)

(衣料品売り場も充実)

(自転車。価格帯は1万ドル~)

meat to meet
前回の更新から2カ月ぐらい日があいてしまいました。冬期休暇に入ってから日本に一時帰国しており特にシャンペーンネタで書くことがなかったというのが正直なところですが、無事に戻って留学生活を再開させております。震えながら。


でも嬉しいこともありました。
外国の生活は楽しかったり辛かったりいろいろですが、やっぱり食生活の点はままならないことの方が多く、中でもナンバーワンなのは普通のスーパーで薄切り肉が売ってないことです。リーズもそうだったのですが、基本的に売られてるのは厚めのお肉かひき肉系で、日本でいうところの豚こまや薄切り肉的なものがありません。
駐在生活が長いご家庭だと、肉をスライスして薄くする専用のスライサー(?)的なものを導入して解決していると聞いたことがありますが、まあいっても滞在は1年足らずですし、スライスの手間かけてまで薄切り肉食べたいかというのもあって、前期はひたすらブタ挽肉をガパオライスにしてご飯にかけて食べるという生活を送っていました。
後期もガパオ地獄かあとおもってしょんぼりしていたんですが、先日足を延ばした中華食材店でついに発見。

冷凍薄切り肉です。実はこの子の存在は知ってまして、リーズで生活していたときは中華食材店には基本的にこれが売っててよくお世話になってました。1枚1枚ロールになって分かれてパック詰めされており、日本だと全く見かけない形態(?)の売られ方ですが、保存・保管がしやすいですし、鍋に放り込むだけですぐにシャブシャブができるのでとても優秀です。
シャンペーンにきたときも当然にこれが手に入るものだと思ったのですが見当たらない。大学近くのAMKOやFar East Groceryとか、大学近くの目ぼしいアジア食材店は大体行ったのですが全く見つからず、「シャンペーンには薄切り肉は存在しない」と諦観してガパオ生活に突入していたわけです。
ところが先日なんとなくシャンペーンを徘徊したくなって、バスに乗って普段は全くいかない大学の西側の方にお出かけしてみたところ、Fresh International Marketというアジア食材店を発見し、そこで感動の再会(?)を果たせたという次第でした。
薄切り肉の他にもいろいろと食べなれたものが売っています。全般的に品揃えはAMKOや他のアジア食材店を凌駕しており、ここにくれば他のお店に行く必要もなさそうな印象です。もっと早く気づけばよかったです(やっぱり外に出るといろいろな発見がありますね。新しいダンジョンに入ったら隈なく探索しておかないと後で泣きを見るということを幼少期からバイオハザードシリーズで叩きこまれていたはずなのですが。)

あと実は薄切り肉問題にはもう1つ解決策がありまして、Weeeというアジア食材専用のECアプリで頼むことでも手に入ります。これも前期のときは知らず、年末に帰国した際に、同じくNYU留学から一時帰国中の先輩と梅田のグランフロントでご飯を食べているときに「アメリカでも薄切り肉が食べたい。つらい。」と愚痴ったところ教えてもらいました。
Weeeはこの物価高の割にはかなりコスト面を頑張ってるという印象で、35ドル以上頼めば配送料がタダということにも釣られ、お肉以外にも納豆なり鮭フレークなり冷凍うどんなりを大量に注文するヘビーユーザーに。さすがに↑のFresh International Marketよりは値段張りますが、そもそもこの時期のシャンペーンは外に出ることすら苦痛なので、お買い物に行く必要がないというのはかなりのメリットかと思います。
この2つで私の食生活はだいぶ改善することが確定したので、前期よりはいくらか快適なシャンペーン生活を送れそうです。めでたし。
冬きたる。
寒いです。

引継ぎはじめ各種情報でも「シャンペーンは寒い。」「冬はやばい。」等々の情報を目にして怯えていましたが、いよいよ身をもって実感する季節がやってまいりました。
「まだ11月半ばなんですが…?」という心の声をよそに昨日は雪もシンシンと積もり、連日夜から朝にかけて氷点下は当たり前。今週の金は最高気温でもマイナス2度、土曜日は最低気温がマイナス11度と、米国中西部の本領を発揮してきています。つい先月まで私の部屋の床下の隙間から屋内に侵入を試みていた野ネズミの皆様も最近はぱったりご無沙汰になりました(元気かな)。
冬のヨークシャーも結構寒かったですがこれほどではなく、体感としてはアイスランドのレイキャビクにいたときの感覚のほうが近いです。

本格的な寒波が到来するらしい1月以降に生きていける自信がないのですが、歴代の客員研究員の皆様も凍死することなく無事に生還しているのできっと何とかなるはず。
シャンペーンの治安と犯罪地図(Crime Map)
イリノイ大学では、キャンパスの周辺で起きた犯罪については大学から全学宛に一斉送信されるのですが、9月以降に受信したものだけでも、
①9月5日午前9時58分 路上で自転車に乗った男性に突然殴打され、スマホを奪われる。
②9月18日午前2時25分 路上で突然、前から歩いてきた複数人のグループに殴る蹴るの暴行を受けて病院送り。
③10月1日午前2時45分 学生寮にてデートアプリで知り合った男性から性的暴行を受ける。
④10月8日午後2時50分 路上で突然男性に殴られた挙句、金を払わないとさらに危害を加える旨を脅迫され、有り金を持っていかれる。
と犯罪の見本市状態です。発生頻度もなかなかですが、①と④は日中の大学キャンパス周辺(というか目の前)の路上で通り魔的に起きており、こうなってしまうともはや「夜に出歩かない」とか「危険な通りに近寄らない」といった標準的な自衛策では対応できず、こうなってしまうと事件に遭うかどうかは半ば運次第です。
シャンペーンは治安が良いことが売り文句になっており、これは一つの真実ではあるのですが、あくまで「米国基準で」「相対的には」という留保がつき、やはり日本と比べてしまうと危険度は高いんだなあというのが最近の印象です。これでも銃撃事件がないだけ、ご近所のシカゴやセントルイスよりは圧倒的にマシというのがまたなんともいえないところ。
例えばシカゴでは無差別銃撃事件に限っただけでも、2022年7月5日にで7名の死者が、11月1日は13名の負傷者が出ています。
ちなみに、イリノイ大学のWebページでは、キャンパス周辺で過去60日間に報告された犯罪件数をマッピングしたデータ(Crime Map)が確認できます。
2022年11月11日に確認したところでは、この60日間に大学周辺で700件以上の犯罪が確認されているようです。未成年飲酒や飲酒運転、万引き等も含まれている数字なので体感治安とはギャップがありますが、暴行や引ったくり、性犯罪もそれなりのシェアを持っているので街の危険なエリア・安全なエリアをざっくり掴むには有用な資料かと思います。フィルターを使えば発生時間帯でソートもできるので、どの時間にどのエリアが犯罪発生頻度が高いかも確認することができます。

このデータを見る限りでは、キャンパス西側が圧倒的に悪く、キャンパス北部とアーバナのダウンタウン周辺あたりもそれなりに犯罪頻発地域と言えそうです。ただシカゴとは異なり、「この通りは足を踏み入れるだけでもやばい」的な危険エリアはなく、繁華街や商業施設が多い地域は犯罪も起こりやすいということかと思います。
いま自分が住んでいるのはキャンパス東側の赤枠で囲ってある部分ですが、このエリアは完全に一軒家中心の住宅地なせいもあってか、(少なくてもここしばらくは)全く犯罪が認知されていないようです。実体験としてもこのエリアで何か身の危険を感じたことはありません。
黄色枠のエリアは日本でいうところのマンションやアパートが多くたっています。キャンパスや繁華街に近いので、学生さんに人気なのはこっちのエリアのようです。便利ではあるのですが、繁華街やお店に近いこともあって結構うるさいのと、治安にも若干注意が必要になってきます。このあたりは利便性とトレードオフなところがあるので、何を優先するかで選択が変わってくる感じでしょうか。
無事に帰れるといいなあ。。
ロースクール図書館
イリノイ大学のロースクール棟の1階には専用の図書館が併設されており、誰でも入室可能です。リーズ大学のときは法学部独自の図書はなく、中央の大きな総合図書館(Edward Boyle Library)に法学を含め全ての図書が集中していましたが、イリノイ大学の場合は(物理的な)規模の大きさゆえか、キャンパス内に専門性に応じた大小の様々な図書館が点在します。一応総合図書館的なものもあるにはあるのですが、そちらには法律系の図書はほとんど置かれていないようで、法律文献のリサーチはロースクール棟の図書館が中核になります。

内部は明るくてスタイリッシュな設計となっており、1階に閲覧エリアが、地下1階~2階の3フロアにわたって開架式の図書が並べられています。閲覧エリアの席の埋まり具合は3割~5割といったところで、日本のロースクールの自習室のような鬼気迫る雰囲気はなく、のんびりしています(試験前になるとまた変わるのかも?)

2階の一角にブースエリアがあり、その1席をこんな感じで指定席として客員研究員のために確保して頂けます。紙が貼ってある部分はロッカーになっており(下からパカンと開けられます)、渡米後最初の事務室訪問時に鍵と一緒に貸与されます。講義で使う重いケースブックや法文集はこのロッカーに置きっぱなしにすることが可能です。
このブースエリアは基本的に客員研究員か博士課程の学生しか使用していないようで、いつ行っても閑散(?)としています*1。 他の客員研究員の方の座席もあるのですが、まだどなたにもお会いしたことはありません。


書庫のエリアはかなり広く、1枚目の写真で見える範囲に比べると、実際はかなりの奥行きがあります。これが3フロア分あるので、蔵書数はかなりのものです。もっとも、その多くを占めるのが判例集で、書籍の充実度は普通というのが現時点での率直な印象です。
これはイリノイ大学だからというより、米国の法文化や出版文化に起因する全体的な傾向で(たぶん)、リサーチといえば判例(case law)の調査であり、またアカデミアにおける業績の公表は各ロースクールから出ている紀要(ローレビュー)が中心的な役割を果たしていることが大きいのではと考えています。いわゆる体系書を筆頭に、日本・英国と比べると法律図書の出版自体が国家規模の割にはあまり多くない印象です。
対照的に、英国の場合は大学紀要がそこまで強くないものの*2、体系書を含む法律書籍の出版文化は盛んで、Sweet & Maxwellのような大手の学術出版社や、大学出版社の二大巨頭(OUPとCUP)を中心として、毎月のように多くの法律書籍が上梓されています。
イギリスもコモンローの国なのでアメリカと同じような感じになりそうなものですが、イギリスは判例法を中心としつつもそれを体系的にまとめようとする作業が脈々と行われてきている(ような気がする)のに対し、米国ではあまりそのような傾向はあまり感じられず、その違いにも面白さを感じています。*3
また英米に共通する点として、日本法でいうところのコンメンタールに相当するものが本当に少ない(ほとんどない)です。そもそも「コンメンタール」という言葉自体、ドイツ語のKommentar(注釈書)に由来するもので、このあたりは成文法をベースにした大陸法との違いが如実に表れてくる点と言えるかもしれません。

日本や英国での学習に慣れてきた立場からすると、体系書がほとんどない中で外国法の全容をしっかり掴むのはなかなか大変ですが、なんせこんなおしゃれな図書館ですので、蔵書も含めてしっかりこのリソースを有効活用できるレベルまで到達できればと思います。がんばります。
*1:かくいう私も実はあまり使っておらず、(1)自習だけなら家で出来る、(2)文献調査の多くはオンラインで完結する、(3)図書館で調査するときも1階の一般閲覧室で事足りる(2階に上がってくる元気がない)等々の理由で足が遠のいており、ほぼ授業前の休憩場所兼物置と化しています。
*2:法学分野だとOxford、CambridgeのLaw Journalはそこそこ存在感はあるものの、ジャーナルとしては大学紀要よりModern Law Review、European Law Journalのような専門誌の割合が圧倒的に多いです。
*3:米国は州法・州裁判所による違いがあることに加え、判例の数が膨大であり、これを体系的にまとめようとするのがそもそも難しい気もします。