Blenheim Point

主に英国(リーズ大学)と米国(イリノイ大学)の留学について記載しています。

【勉強7】前期成績発表

前期に履修した4つのモジュール(単位)の成績が開示されました。

1 結果と反省点

モジュールの成績は100点で満点評価され、50点以上がPass(可)、60点以上がMerit(良)、70点以上がDistinction(優)という評価が割り当てられます。50点を下回るとFail(落第)となります。また上記の基準をもとに、全科目を通じた平均成績についても学位の格付け(?)がされます。特に平均でDistinctionをとるのはそれなりに名誉なことのようで、イギリスの法律事務所に所属する弁護士の経歴欄でも学位の後に「pass with distinction」と記載をしているのをたまに見かけます。ディスティンクション。いい響きです。

 

もちろん私はそんな領域からは程遠く、4科目中パスが1科目、メリットが2科目、ディティンクションが1科目ということで実に平々凡々、量産型LLM生、可もなく不可もなくといった塩梅でした。とりあえず単位を落とさなかっただけでも御の字です。

 

エッセイ課題の評価はフィードバックもしっかりしており、全体的にどこが良くて悪かったかという総論へのコメントだけでなく、個別の英語表現や論理展開についてもポータル上のコメント機能を使って細かい指摘がもらえます。

 

各課題に共通するコメント(改善点)としては、①論点をしぼる ②解答をシンプルにするの2点に集約される感じでした。

 

①については「記載の幅が広がりすぎてdescriptiveになってしまっている」「もっとissueを絞れ」系の指摘を複数受けました。日本でも法律の論述試験ではメリハリをつけた記述がしばしば強調されますが、こちらは日本以上にラディカルな絞り方が推奨されているような印象を受けました。

 

周りの高評価だった学生に話を聞いてみても、やはり一点突破型の方が多く、記載内容それ自体が論理一貫していれば、命題自体に対する論証の精緻さはあまり問われないような印象を受けています。

 

他方で内容に大きな絞りをかければ外したとき(off topic)のダメージが大きいので、単位取得を優先するなら、関連しそうな判例や論点を丁寧に拾いあげていくほうが良いかもしれません。司法試験流にいえば「守りの答案」ってやつですね。これでもMeritなら十分とれます。

 

また、日本の司法試験だとどっち付かずの難しい論点があっても、そこから逃げず一生懸命悩みを見せて、自分なりにバランスをとった解答することに高評価がつくような風潮がありますが、当地のアカデミックライティングでそれをやると「論理の一貫性(consistency)や明確性(clarity)がない」とぶった切られるリスクが高いので余程自信がない限り控えたほうがよさげです。

 

私の表現力の稚拙さも影響していると思いますが、下手に結論の妥当性やバランスを求めるよりも、極論で攻めたほうがconsistencyやclarityで高得点がとりやすい印象を受けています(このあたりはIELTSのWritingと一緒ですね)。単細胞になりましょう。

 

2 落第(Fail)について

(1)そもそも落第しない

普通にやってれば落第はしません。今年のリーズLLMには日本人の学生が私を含めて3人いますが、前期で単位を落とした人は勿論ゼロ(私以外のお2人は大変優秀な方ですが、2人とも純ドメです)、そのお2人も直接的な知り合いに落第した学生はいないとのことで、「友達の友達」レベルでようやく「どうやら単位を落としたらしい」という人が見つかる程度です。

 

大学のWriting Sessionで提供された過去のボーダーライン答案(要はFailの当落選上の答案)を読んでみても、「これはちょっと…」というレベルの答案だったので(4000wordsでreferenceが30個くらい、おまけにIbid連発)、普通にやれば大丈夫です。

 

授業中の英語が十分に聞き取れなくても単位を取得する上では問題ないです。自分も最初のころはかなり焦りましたが、講義で使われたパワポはもれなくデータで配信されるので復習できますし、どのみちエッセイを書くためには山ほど関連文献を読まなくてはいけないので授業中の情報量は正直誤差の範囲です。

 

ライティングについても平易な英語で全然問題ないですし、幸いなことに近年のグーグル翻訳やDeepLの性能は凄まじく、純粋な英語力という意味でのライティングスキルが残念な感じでもそれがボトルネックになることはありません。

(2)落第しても大丈夫

落第はしないに越したことはないのですが、いろいろと救済の道は用意されているのでそんなに心配いりません。まず卒論を除いた120単位中90単位が取得できていれば学位は来るので30単位(1モジュール15単位なので2モジュール)までであれば落とせます。

 

また後期の終わりにResit、つまり再試験の機会が与えられるので、そこで挽回することも可能です(エッセイトピックは別のものが与えられます)。意外にこのあたりのレギュレーションを把握しておらず、単位を落として初めて学生課に相談している学生も多いようですが(某教員がボヤいてました)、学期はじめに配られるHand Bookに全部書いてあるのでちゃんと読んでいたほうがいいです。

 

また上記の30単位のバッファとの絡みで、特にこだわりがなければInternational Business Lawコース一択です。というのも他のコースを選ぶと必修科目がついてくるので科目選択の幅が狭まることに加え、必修科目の単位獲得は学位認定の要件になっており、上記の「万が一落第した場合に再試験をせずに当該科目を切る」という選択肢がとれなくなります。

 

さらにビジネス系のコース(Banking Law, Trade Law, Corporate Law, Internatinoal Business Law)であればどれであってもとれる科目は変わらない(要はそのコースじゃないと履修できない科目というものが存在しない)ため、International Business Law以外のコースをとることは実際マイナスしかないと思います。

 

あえて挙げるなら、自分の専門分野や今後進みたいキャリアとの関係で、学位の見栄えがよくなることぐらいでしょうか(Certificateの違いが就職や転職に影響するのかは謎ですが)。ちなみに、IPコースや公法系のコースは当該コースじゃないと履修できない科目、というのが存在するため、積極的に選択する意味が出てきます。

 

どのコースでどんな科目が履修できて、どんな科目が必修になっているか、という点は大学ウェブサイトのLLMのコースページから確認することが可能です。