Blenheim Point

主に英国(リーズ大学)と米国(イリノイ大学)の留学について記載しています。

【勉強10】イギリスの大学のランキング(2022年版更新)

最近QSの大学ランキング2020年版が発表されたのですが、リーズはぎりぎりTop100に入ったようで、大学から「やったぜ」的なメールが届いてました。全学に送っちゃう?とも思いましたが、留学生に向けた営業戦略としては大事ですし、日本の偏差値のような定量的な指標がない以上、アピールせざるを得ないのかもしれません。

 

ランキングについてはその有用性も含めて色々な議論があるところですが、私に関しては弁護士業界全般でリーズのLLMの前例が乏しいこともあり、それなりにちゃんとしたところですよということを示せないと内部的にNGが出る可能性も無きにしもあらずだったため、もっぱら社内的な事情で切実な問題でした(結果論としては特に何もつっこまれることなく行かせて頂けたので杞憂でしたが)。

 

某商社さんの社員の方から伺ったところによると、法務部では社費留学にあたってかなりそのあたりのスクリーニングが厳しいらしく、Oxbridge+ロンドン大学系以外基本NGだとか。英国LLM留学の前例が少なすぎてそもそもあまり理解されてないという背景事情もあるようですが、ロンドン大学系ならどこでもよくて、(たとえば)エディンバラダラムブリストルあたりはNGというのはなかなか…と思わなくもありません。というわけでちょっと下世話な感じもしますが、イギリスの大学事情についてつらつら書いてみました。

 

1.ラッセルグループ

イギリスの大学は99%国立大学なのですが、その中でも有力な24大学がラッセルグループと呼称されています。私の経験としても定評ある法学系ジャーナルに出てくる論文は圧倒的にラッセル在籍の研究者のものが多いので、とりあえずこの24大学のどこかであれば「英国内でも名の通ったちゃんとした大学」といっていいのではないかと思います。勿論、ラッセルに入っていなくても有力な大学は多々あります(St.Andrewは典型例です。)。

 

2.大学ランキング

世界の大学ランキングは色々あるようですが、よく目にするところだとSimmons社が発表しているランキング(通称QS)が1番有名かなと思います。

 QS(https://www.topuniversities.com/university-rankings/world-university-rankings/2020)は以下。

 1. Oxford 2. Cambridge 3. UCL 4. Imperical Colledge London 5. Edinburgh 6. Manchester 7. KCL 8. LSE 9. Bristol 10. Warwick 11. Glasgow 12. Durham 13. Sheffield 14. Birmmingham 15. Leeds 16. Nottingham 17. Southampton 18. St. Andrews 19. Quuen Mary 20. Lancaster 

 

ただ他の世界ランキングでは順位が変動します。同じく有名なThe Times Higher Educationが発表しているランキング(通称The)だとリーズは22位(https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2020/world-ranking#!/page/0/length/25/sort_by/rank/sort_order/asc/cols/stats)、ARWUでは9位から16位のレンジでランクインです(http://www.shanghairanking.com/arwu2019.html

 

続いて国内の媒体が発行しているランキング。Guardian、TimesとCompleteが3強らしいです。例えばGuardianだと

1. Cambridge  2. Oxford 3. St.Andrew 4. Loughborough  5. Durham 6. Bath 7. ICL 8. Warwick 9. Lancaster 10. Leeds 11. UCL 12. York 13. Coventry 14. Excter 15. LSE

となっています。

英語版Wikiに記載されているRussel Groupの各種ランキングの早見表(2019年版)はこちら。

f:id:yamato8601:20200702001003p:plain

 

こうして並べてみると、世界ランキングと国内ランキングではかなり順位が変わるのが分かります。世界ランキングだとOxbridgeが先頭を独走、ICL・UCL・LSE・KCLというロンドン大学群と古豪Edinburghがそれに追随するイメージでしょうか。イングランドスコットランドの大都市圏が強いです。

対照的に国内ランキングではOxbridgeが断トツなのは変わらないもののRussel以外も多くランクインしています(最たる例ではSt.Andrewsが各種ランキングで3位~4位にランクイン)。一方でロンドン大学群やEdinburghが苦戦しており特にQMULは大きく順位を下げています。

Oxbridgeは別格として、世界・国内の両方で安定してTier1に食い込んでいるのはICL、Durham、Warwick、Exeterぐらいでしょうか。リーズも世界/国内ともに10位~15位のレンジ、良くも悪くもTier2安定しているといえそうです。

なんでこんなに世界/国内でランキングが変わるのかはよく分かりませんが、日本の場合もQSのランキングと国内人気(偏差値やら倍率やら)には結構乖離があるので同じような事情かもしれません。

 

3.Magic Circle

上記はいずれも法学部ではなく大学全体の評価ですが、法学部を測る1つの面白い指標としてChambersが発表している英国の大手法律事務所(いわゆるMagic Circleに属する事務所)の新卒採用シェアのランキングというものがあります(https://www.chambersstudent.co.uk/where-to-start/newsletter/law-firms-preferred-universities-2019

f:id:yamato8601:20200701083541p:plain

f:id:yamato8601:20200701083253p:plain

昔(2012年~2013年)はリーズは6位にランクインしていたようですが、徐々に後退して2019年は14位。こちらでも相変わらずOxbridgeが首位を独走していますが、Durham・Bristol・Excester・Nottinghamが安定して上位に食い込んでおり、やはり世界大学ランキングとは違った様相を呈しているのは面白いですね。特にDurhamの強さは圧巻です。QMUL以外のロンドン大学群(UCL・LSE・KCL)は大体毎年リーズと同じぐらいといったところでしょうか。

どちらかといえば大まかな傾向は国内ランキングと似ているといえそうですが、Bristolがここ10年ずっとTop Tierに食い込んでいるのは興味深いです。

ただし英国の法曹養成制度は日本や米国的な意味でのロースクールとは全く結びついておらず、LLMも無関係です。したがってMagic Circleの採用における各大学のプレゼンスは、(我々の留学先となる)LLMの評価とは切り離して考える必要があります。

 

4.まとめ 

日本人が行くLLMはロンドン大学系が圧倒的に多く、これらの大学が国内外から素晴らしい評価を得ていることは疑いようがないのですが、同じくらい(あるいはそれ以上に)勉強・研究をする環境が整っている大学は沢山あります。それにも関わらず、英国LLMというと基本的にロンドン一択になっているのは、前例(他の都市の大学の卒業者)がほぼいないというのが理由の1つじゃないかと推測していますが、仮にそうなら勿体ない気がします。

ロンドンは素晴らしい街で私も大好きですが、家賃や治安といった住みやすさ、大学の設備や評判を含む学習環境においてはロンドン以外の大学・都市も十分に留学先の候補になりうるだけの良さがあると思います。

リーズに限らず、各都市に特色のある素敵な大学がたくさんあるので、今後は英国留学される方の1つの選択肢になれば嬉しいです。

 

※2022年12月12日更新

アクセス数が多かったので最新のQSランキングを見てみたら、半年前(2021年6月9日)に更新されていました。

www.topuniversities.com

2022年の英国の大学の順位は、

1. Oxford 2. Cambridge 3. ICL 4. UCL 5. Edinburgh 6. Manchester 7. KCL 8. LSE 9. Warwick 10. Bristol 11. Galsgow 12. Southampton 13. Durham 14. Birmingham 15. St.Andrews 16. Leeds 17. Sheffield 18. Nottingham 19. QMUL 20. Lancaster

でした。

1~2ランクの変動はありますが、2020年とほとんど変わらないようです。

 

国内(Guardian)のランキングも見てみました。

 

www.theguardian.com

1. Oxfrod 2. Cambridge 3. St Andrews 4. LSE 5. Durham 6. Warwick 7. ICL 8. Bath 9. UCL 10. Loughborough 11. Galsgow 12. Edinburgh 13. Lancaster 14. Bristol 15. Exeter 16. Leeds 17. Southampton 18. Strathclyde 19. York 20. Aaberdeen

2020年と同様、QSとは大きく異なるようです。